兵庫県立芸術文化センター主催「はじめての京劇Ⅲ」終了!2012-11-16 02:22

京劇「馬超と張飛」(馬超:張春祥・張飛:于躍)

最近時間の経つのが早すぎて…

すっかり遅くなってしまいましたが去る11月4日

兵庫県立芸術文化センター主催「はじめての京劇Ⅲ」

無事終演致しました。

おかげさまでほぼ満席と盛況でございました。

 

盧思の「天女散花」は素晴らしかったですが、

それ以上に、その後の京劇レクチャーで、

彼女の魅力にコロっとやられてしまった人が

多数いるのではないかと思います。

#自分もその一人^^;

今度の1月公演「鉄弓縁」では、そんな彼女の専門である

花旦(少女役)の見せどころが満載ですので、

ぜひ皆さんもコロっとやられてください(笑)

 

そして、師匠と于躍による「馬超と張飛」

師匠は主役の馬超だったわけですが、

今回の師匠はメイク準備をしている段階で、

なんかいつもよりも精悍さが増している感じで、

予想通り、本番でも素晴らしい好演でした。

後で師匠に聞いたら「劇場ごとに舞台の持つ雰囲気ってのがあって

このホールはいつも何故か自然と気合いが入る」

みたいなことを言ってました。

そういえば、前回の龍宮でもノリノリで蝦役をやってたなー。

 

張飛役の于躍もそれに負けず、とてもエキサイトしてました。

しかし、裏の事情としては、今回はカラオケ伴奏というこで、

そういう激しい演技や立ち回りをしながらも、

役者としてはタイミングを調整しなければならない。

彼はその辺、とてもクレバーで、あれだけキレキレの演舞をしながら

冷静に対処しているのが本当に素晴らしい。

#何気に他キャストのもたつきなどもよくフォローしている

更にはリハーサルでは日本人研修生たちに

丁寧に所作を直してあげてたりして、本当に面倒見が良い。

師匠も「彼は本当にいい子だねぇ」といつも感心しております。

 

「はじめての京劇4」も計画中のようですので、

今回楽しんでいただけた方も、見逃してしまった方も

楽しみにお待ちいただければと思います。

鐘馗嫁妹 -鐘馗について-2012-11-19 15:52

京劇の鐘馗(張春祥)

端午の節句に飾られる神様「鐘馗(しょうき)」は

魔よけと学業成就の神様でありますが、

元々はただの人間でした。

 

彼は武挙(国家試験)を受けに向かう途中、

間違えて鬼の棲みかに迷い込んでしまい、

醜い姿に変えられてしまいました。

彼は試験では優秀な成績を挙げたにもかかわらず

その醜い容貌が原因で合格できなかったので

無念のあまり自殺してしまったのです。

 

道教の最高神「天帝」は彼の死を憐れみ

彼に鬼や悪霊から人間を守る役目を授けました。

こうして、魔よけの神様「鐘馗」が誕生したのです。

 

…という、悲しげなバックグラウンドを抱えつつ、

京劇では、存在感のある隈取りと長いひげを持ち

鬼達を引き連れて登場します。

しかし、その背景や迫力とは裏腹に何かコミカルな動きは

見ていてちょっと微笑ましくなってしまいます^^

 

先ほど「鬼や悪霊から人間を守る役目」と書いておきながら

「鐘馗」が鬼達を手下のように引き連れて登場するのは、

もしかしたら違和感があるかもしれません。

それは「鐘馗」が常に携えている剣に秘密があります。

彼の持つ剣は「破魔の剣」で、これで切られると

鬼達はひとたまりもありません。

…というわけで、鬼達は(たぶん)しぶしぶながら

悪さもせず、おとなしく彼につき従っています。

もし、剣を忘れて舞台に登場したら

すぐ鬼達に襲われて終幕になってしまうかもしれませんね。